原因不明の貧血

原因不明の貧血

原因不明の貧血

貧血の原因には鉄欠乏性貧血、再生不良性貧血等がありますが、原因不明の貧血も起こる場合があります。

 

原因が分からない貧血

通常の血液検査を行っても、ヘモグロビンの濃度や鉄分量等に問題が無いのに、重度の貧血になっている場合、何かの病気が潜んでいる可能性があります。貧血とは病気の名称ではなく、症状の事を指します。貧血は胃がんや大腸がん、白血病等の病気で起こる症状の一つでもあります。

 

もし通常の血液検査を行っても問題が無いのに、重度と言える様な貧血の症状が治まらないようであれば、念の為に内科(もしあれば「血液内科」)へ検査入院し、精密な検査を受ける事をお勧めします。

 

精密検査で分かる症状

精密な血液検査では、以下の様な事を調べる事が出来ます。

 

赤血球数

血液中の赤血球量を調べます。赤血球が減りすぎている場合は貧血を起こしますが、増えすぎている場合は多血症(血液が流れにくくなり血管が詰まりやすくなる)になります。

 

ヘモグロビン濃度

ヘモグロビンの濃度を調べます。ヘモグロビンの濃度が低下すると貧血を起こします。

 

ヘマトクリット値

血液中にある血球(赤血球や、その他白血球等)の割合を調べます。ヘマトクリット値が低ければ貧血を起こし、値が高ければ多血症を起こします。ヘマトクリット値が高い場合は脱水症状になっている可能性があります。

 

白血球数と血液像

血液中の白血球の数と、顕微鏡で白血球の形を調べます。白血球数が増えすぎている場合は炎症(虫垂炎、肺炎、胆のう炎、膵炎、腎盂腎炎等)、心筋梗塞、外傷、白血病が疑われます。

 

また白血球数が減りすぎている場合は膠原病、悪性貧血、再生不良貧血、放射線や抗がん剤の副作用が疑われます。また、血液像に異常がある場合は扁桃炎、腎不全、寄生虫病、薬剤アレルギー、梅毒、バセドウ病、水痘、敗血症、腸チフス、悪性リンパ腫、ガン等が疑われる為、他の検査を受ける事になる可能性が高いです。

 

血小板数

血小板の数を調べます。血小板が減りすぎている場合は血小板減少紫斑病、白血病、肝硬変等の病気が疑われます。また血小板が増えすぎている場合は慢性骨髄性白血病、多血症が疑われます。その為、他の検査を受ける事になる可能性が高いです。

 

血清鉄

血液中の鉄分量を調べます。減りすぎている場合は悪性腫瘍、慢性関節リウマチ、妊娠等が疑われます。また増えすぎている場合は慢性アルコール症、肝硬変、肝障害が疑われます。

 

出血時間

耳たぶに傷を付け、皮膚から出血した血液が自然に止まるまでの時間を調べます。血小板の減少が減少している場合は放射線や白血病またはガンの転移による造血障害を起こしている場合がありますので、血小板を輸血する場合があります。

 

血小板が機能低下していた場合、骨髄腫や尿毒症の可能性があります。また、毛細血管に異常がある場合、壊血病になっている可能性がある為、ビタミンCやビタミンKを投与して血管を強化します。

 

プロトロンビン時間

出血してから肝臓でプロトロンビンが作り出されるまでの時間を調べます。プロトロンビンとは血液に含まれる血液凝固因子の1つで、出血があると肝臓で作られたプロトロンビンがトロンビンに変わり、血液中のフィブリノーゲンを水に溶けやすいフィブリンに変えて血液を凝固させます。

 

基準値よりも長く時間がかかる場合は、ビタミンK欠乏症、劇症肝炎等の肝臓や胆道の病気等の可能性があります。ビタミンK欠乏症や肝障害の場合はすぐに入院して処置を行う必要があります。

 

活性化部分トロンボプラスチン

血友病の原因となる因子の欠乏を調べます。健康な人の血小板や白血球には血液を凝固させる働きを持つトロンボプラスチンという物質が含まれていますが、血友病の場合はトロンボプラスチンの一部の働きが悪くなっています。異常値が出た場合、血友病や劇症肝炎の可能性がある為、他の検査を受ける必要があります。

 

この様に、貧血の症状が何かの病気によって引き起こされている可能性があります。「ただの貧血」とは思わずに、重度の貧血がよく起こる場合はしっかりと検査を受ける事をお勧めします。

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